かゆみが出で、生まれて初めて産婦人科へ行った。
促されるままに診察台に乗ったら、
診察が痛かった。
医師とカウンセリングの席に戻ったら、
「セックスの経験は無いのですか?」
と緊張した面持で聞かれた。
「はい」と答えたとき、察した。
診察台を降りたときに見えた、
容器の中の血液は、
私の処女膜喪失の血だったのだ。
当時24才。
「生きた化石」と言われようと
新婚初夜に処女を捧げるという
セレモニーを成就したいがために
頑なに守ってきたのに。
・・・ちょっと表現が違うかな。
いくら現場が熱い空気になろうとも、
その先の世界に好奇心があろうとも、
冷徹に固辞していた。鉄の女のように。
案の定、
初めてのとき、出血はなかった。
それは当然。
診察台で処女膜喪失したのだから。
処女だったのに、
自称処女と思われたらしい。
説明したけど、
「処女だろうが、なんだろうが、そんなことは関係ない」
と言われた。
「なんだろうが」の方に属していると思われた。
「なんだろうが」私の価値は変わらない
という愛情の表現だろうが、
それ、「処女だと嘘ついてる」けど、
許すよ、てことか?
はっきりと、出血してくれれば、
説明いらないのに。
どーしてくれるの、
あの時の医師よ。
処女膜を返して。
まあ、主人と、その後の幸せが
左右されることは、なかったのだけど。
釈然としないまま、私の残念な気持ちは
その後に訪れる怒涛の出来事に流された。
そして、またその医師の名を見た。
初めて付き添いで訪れた
レディスクリニックの受付。
「今日の診察・院長○○」
30年前の成仏していない思いが
湧きき上がってきた。
産婦人科で診察を受ける
=処女は処女膜が破られる
それは、当たり前なのか、
処女の人には、膜が破れない診察法があるのか
24才で処女だったのが非常識だったのか。
ネットで調べると
30年前の私の悲劇が
最近でも、頻繁に勃発しているようだ。
女性にとってデリケートなことを話しにくい環境も一因。
女子どうしならオーブンに
オリモノ、かゆみのこと、情報交換できれば、
避けたり、心の準備ができる。
この講座も、意識の壁に穴をあけて
情報という風通しが良くなればいいな、と思う。
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